#4:【レンズの呪文に沈む】パパの「わかったつもり」と、コンセントの罠(Vol2-カメラ編)

レンズ沼 あそびの交差点

「わかった、わかった! 要するに広角レンズを買えばいいんだろ!」

……そう吐き捨ててリビングを後にした5分前の自分を、今の私は全力で殴りたい。 皆さんこんにちは、誠です。

念願の一眼レフ・Nikon D5100を手に入れ、鹿嶋の街を意気揚々と歩き回っていた私ですが、早くも「レンズの壁」という名の巨大な絶壁にぶち当たりました。 撮りたい景色が収まらない。夕暮れの神社が真っ暗に沈む。 我が家のデジタル賢者・陽太に泣きついたところまでは良かったのですが、そこから先は、日本語とは思えない「アルファベットの呪文」が吹き荒れる地獄絵図が待っていました。

今回は、知ったかぶりをした50男が、レンズの暗号に翻弄され、最終的に「レンズの魂」に触れるまでのお話。 さあ、皆さんも私と一緒に、底なしの「レンズ沼」の入り口を覗いてみませんか?


ズームの罠と、高すぎる「明るさ」の代償

ついに届いたD5100。私は毎日、宝物を手に入れた子供のようにカメラをぶら下げ、近所の公園や神社を歩き回っていました。

しかし、撮れば撮るほど、私は目に見えない「壁」に行く手を阻まれるようになりました。

沖に停泊している船を撮ろうとググーッとズーム(望遠)すれば、なぜか画面は急に暗くなり、おまけに盛大にブレる。

逆に、目の前の広大な鹿嶋の海を撮ろうとしても、自分の目で見た時の「圧倒的な広がり」が、どうしても画面に収まりきらない……。

「これ、初期不良じゃないか?」

そんな疑念を抱えたまま、私は再びリビングの賢者・陽太のもとへ駆け込みました。

「おい陽太!このカメラ、壊れてるぞ! ズームすると画面が暗くなるし、ピントもなかなか合わん!

陽太はポテトチップスをかじる手を止め、D5100の背面液晶に表示された「失敗写真」をチラリと見て鼻で笑いました。

陽太:「父ちゃん、それはレンズの『光学的限界』ってやつだよ。壊れてるんじゃなくて、そういう仕組みなの」

パパ:「仕組みだぁ? ズームしたら大きく綺麗に写るのが当たり前だろ!」

陽太:「あのね、父ちゃんが使ってるキットレンズ(18-55mm)は、ズームすればするほど『光の通り道』が狭くなるタイプなんだ。専門用語で言うと『F値(絞り値)が変わる』望遠にするほど光を取り込む穴が小さくなるから、どうしても画面が暗くなる。暗くなればシャッタースピードも遅くなるから、三脚もない父ちゃんの震える手じゃ、そりゃあブレまくるよ」

設定で抗えない「物理の壁」

パパ:「……待て待て、陽太。カメラにはいろいろ設定があるんだろ? その『穴が小さくなる』分、設定でなんとか明るくできないのか? プロなら裏技くらい知ってるだろ!」

陽太:「裏技ねぇ……(苦笑)。一応、『ISO感度』っていうのを上げれば、電気の力で無理やり画面を明るくすることはできるよ」

パパ:「なんだ、あるじゃないか! 出しおしみするな。それをMAXにすれば解決だろ!」

陽太:「いや、それがそうもいかないんだ。ISOを上げるのは、無理やり暗い声をマイクで増幅するようなもの。音が割れるみたいに、写真にザラザラした『ノイズ』っていう砂嵐が出て、せっかくの景色が台無しになっちゃうんだよ

パパ:「……砂嵐だと? せっかくの鹿嶋の夕焼けが、昭和の深夜番組みたいになっちまうのか……」

陽太:「そう。だから、設定で抗うのにも限界がある。結局、画質を落とさずに明るく撮るには、光をたくさん取り込める『良いレンズ』を使うのが一番の近道なんだよ」

10万円の望遠か、1万円の広角か

パパ:「……わかった、もういい! 設定でダメなら、その『ズームしても暗くならないレンズ』ってのを買えばいいんだろ。いくらだ? 5,000円くらいか?」

陽太:「父ちゃん、世の中そんなに甘くないよ。ズームしても明るさが変わらない、いわゆる『2.8通し』の望遠レンズを中古で探すと……。ほら、見て。安くても5万円から10万円コースだね」

パパ:「……ひ、ひ、じゅう、じゅうまん!? バカ言え! D5100の本体が何台買えるんだ! 却下だ、却下! そんな高いなら、俺は暗いのを我慢する! そもそも三脚も持ってないし、遠くの船なんて撮らなきゃいいんだ!」

陽太:「(笑)。潔いね。でも、景色を広く撮る『広角レンズ』なら、中古で1万〜2万円台から狙えるいいやつがあるよ。こっちは欲しいんだろ?」

パパ:「……ああ。鹿嶋の広い海を、あの『目で見たままの迫力』で残したいんだ。それだけは、どうしても諦めきれん!じゃあ俺は、要するに『広角』ってやつを買えばいいんだな! 合点承知だ!」

私はそれだけ聞くと、陽太の返事も待たずに自分の部屋へと引き上げました。


5分後の怒鳴り込み:レンズ呪文の乱

案の定、5分後……。私の部屋からリビングに怒声が響き渡りました。

「おい、陽太ぁ! 全然わからんぞ! なんだこの数字と記号の羅列は! 中途半端に教えるんじゃなくて、もっと親切に教えろ!」

私は、ポテトチップスを掴もうとしていた陽太の鼻先にスマホを突きつけました。そこには初心者を拒絶する「暗号」の羅列が踊っていました。

陽太:「父ちゃん……。どうせ、メルカリやネットの検索窓に『一眼レフ 広角レンズ』とかって打ち込んだんだろ?」

誠パパ:「うっ……。それ以外に探し方があるのか! 安いと思ってクリックしたら『キヤノン用』とか書いてあるし、もうワケが分からん!」

陽太:「だから、それを今から説明するから落ち着けって。その『暗号』が解けないと、父ちゃんは一生レンズを買えないか、ただのゴミを増やすだけになるよ」


誠パパの「一問一答」レンズ塾

パパ:「よし、まずはこれだ! この『VR』とか『VC』とか『OS』ってのは何だ! どいつもこいつもバラバラじゃないか!」

陽太:「それは手ブレ補正NikonはVRTAMRONはVCSIGMAはOS。メーカーごとに名前が違うだけで、父ちゃんの震える手を助けてくれる魔法の機能だよ」

パパ:「じゃあ、この『SMC』とか『T』とか『SIC』ってのは? 必殺技の名前か?」

陽太:「それはレンズのコーティング光の反射を抑えて綺麗に写すための処理だね。各社のこだわりが強すぎて記号がカオスになってるんだよね」

パパ:SIGMA(シグマ)とかTAMRON(タムロン)? Nikonじゃないのに『Nikon用』って書いてあるぞ。偽物か?

陽太:「失礼だな!!それはサードパーティ製純正より安くて、時には純正より尖った性能を出すメーカーだよ。賢いレンズ選びには欠かせない存在だね」

最大の罠「マウント」はコンセントと同じ!

パパ:「……待て。じゃあ、さっき見た『キヤノン用』ってのも、名前が違うだけで俺のD5100に付くのか? 形は似てるぞ、ポチっていいか!」

陽太:ダメダメ!ストップ!一番危ないやつだ!レンズには『マウント』っていう接続規格があるんだよ。

父ちゃん、海外旅行に行くとコンセントの形が違って、日本のドライヤーが刺さらないだろ? あれと同じだ。

ニコンは『F型』キヤノンは『EF型』。形が違えば1ミリも刺さらんし、無理やりねじ込んだらショートしてカメラごと壊れるぞ」

パパ:「……コンセントだと!? どいつもこいつも勝手な形にしやがって! 世界共通の穴に統一しろと言っておけ!」

陽太:「(笑)。だから、サードパーティ製を買う時も、父ちゃんの場合は必ず『Nikon Fマウント』を選ばなきゃダメ。わかった?」


全人類共通の悩み?メーカー別・翻訳表

パパ:「……ったく。こんな面倒なのはNikonだけか? ソニーとかキヤノンを使ってる奴らは、もっとスマートにやってるんじゃないのか?」

陽太:「いや、みんな同じだよ。どのメーカーのユーザーも、最初は父ちゃんみたいに頭を抱えるんだ。呼び名が違うだけで、チェックすべきポイントは全人類共通なんだ。見てなよ」

必要な機能NikonCanonSONYSIGMA/TAMRON
手ブレ補正VRISOSSOS / VC
自動ピントAF-S / AF-PUSM / STMSSM / SAMHSM / USD
センサーサイズDXEF-SE (無印)DC / Di II

パパ:「……うわっ、どいつもこいつも呪文だらけじゃないか! SONYユーザーも、OSSが付いてるかな?なんて必死にチェックしてると思うと、少し親近感が湧いてきたぞ。よし、この表さえあれば選び放題だな!」

陽太:「ちょっと待って、父ちゃん!今教えたのは主要な規格だけ。他にも歴史あるマウントは星の数ほどあるんだ。全部覚えようとしたら、鹿嶋の海にスマホを投げ捨てたくなるでしょ? まずは自分のカメラの規格をしっかり見極めることだよ

一眼レフとミラーレスの「越えられない壁」

パパ:「よし、ニコンのFマウントだな。……お、これなんかどうだ? 『ニコン Zマウント用』。新しくてピカピカしてるし、同じニコンなら完璧だろ!」

陽太:「ストップ!それは最新の『ミラーレス専用』のマウントだ。父ちゃんの『一眼レフ』とは形が違うんだよ」

メーカー一眼レフ(旧)ミラーレス(新)
ニコンFマウントZマウント
キヤノンEFマウントRFマウント
ソニーAマウントEマウント

陽太:「どれも基本的には『互換性なし』。ミラーレス用のレンズは、父ちゃんのD5100には絶対にはまらないよ。メルカリでは、商品説明に『一眼レフ用』とか『Fマウント』ってハッキリ書いてあるものを選ばなきゃダメなんだ


陽太直伝:失敗しないための「検索の呪文」

陽太:「父ちゃん、もう迷わないようにNikonのAPS-C一眼レフのD5100にぴったりの『安くて高性能な広角レンズ』が出る呪文を教えるよ。検索窓にこう打ち込みな。コピペ推奨だよ」

🔍 メルカリ・ネット検索用:最強の呪文

「Nikon AF-S DX 10-20mm VR」

  • AF-S:ピントが自動で合う!(D5100には必須)
  • DX:D5100のセンサーサイズにピッタリ!
  • 10-20mm:これぞ超広角。地平線まで写るぞ。
  • VR:父ちゃんの震える手も安心!

パパ:「おお……! 呪文を打ち込んだら、一気に候補が絞り込まれたぞ! しかも、なんだか『わかってる奴』の検索結果に見えるな……!」

陽太:「でしょ? あと父ちゃん、D5100は『APS-C』っていう一回り小さいセンサーだから、大人しく『DXフォーマット』用を探すのが安くて軽くて正解だよ」


オールドレンズという「時間旅行」

パパ:「……待て。もっと安いのがあったぞ。『オールドレンズ』。これならお小遣いで余裕だ!」

陽太:「あー……それは深すぎる沼だぞ。数十年前に作られた、フィルム時代のレンズのこと。オートフォーカスは効かないけど、その『不完全な光』を楽しむのが通なんだ。その時には、『マウントアダプター M42 ニコン』で検索すれば繋ぐ道具も出てくるよ」

陽太おすすめのオールドレンズ(伝説の名玉)

  • Super Takumar 55mm F1.8「逆光で撮ると虹色の光の輪が出る。近所の公園が急に映画のワンシーンになるぞ」
  • Helios-44-2 58mm F2「背景がぐるぐると渦を巻くようにボケる。現代のレンズじゃ絶対に出せない味だね」
  • Nikon AI Nikkor 50mm f/1.4「Nikonユーザーなら一度は通る道。マニュアルでピントを合わせる『カチッ』とした感覚が最高だよ」

「……なるほど。呪文には意味があり、レンズにはそれぞれの『魂』があるのか」

ようやく怒りが収まった私は、陽太の横に座り込み、一緒に「最高の一本」を探し始めました。

「(……いつかはオールドレンズで、昭和のような切ない鹿嶋の海を撮るのもいいな)」

新たな知識を武器に、私は再び「沼」の深淵へと手を伸ばしたのでした。


🎁 本日のステップアップ・アイテム

1. 超広角ズームレンズ(DX用)

目の前の景色をすべて飲み込む、誠パパ待望の一本。

[中古で狙う!Nikonユーザーおすすめ広角レンズをチェック]

2. マウントアダプター(M42用など)

オールドレンズをD5100に装着するための必須パーツ。これ一つで世界が変わります。

[オールドレンズへの招待状。アダプターを探す]

3. 単焦点レンズ(35mm F1.8G)

「暗い」悩みを一発解決。背景ボケも自由自在なDXユーザー必携の名玉。

[Nikon DXユーザー必携の名玉単焦点はこちら]

次回予告:第5話【これが我が家の物語だ!】広角レンズが写し出した、鹿嶋の壮大な一枚

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